15代目クラウン▲トヨタ クラウンは国産高級車の代名詞。先代に当たる15代目は2018年6月から2023年10月まで生産されていた

高級セダンの注目株! 15代目クラウンの中古車が今オトク!

今15代目トヨタ クラウンの中古車が狙い目だ。2023年3月の中古車平均価格は391.1万円だったが、2024年4月22日時点で335万円に下落(カーセンサー調べ)。1年間で50万円以上も安くなったのだ。

15代目は最後の日本専用FRセダンであり、多ボディで世界販売される現行型とは異なる個性を備えている。中古車としてのコスパで考えれば、現行型クラウンセダンに負けず劣らず魅力的だ。

今回は、そんな15代目クラウンについて解説するとともに、オススメの選び方を解説。元々15代目クラウンに乗ってみたかった人はもちろん、高級車あるいはFRセダンをオトクに手に入れたい人も、ぜひ同車に注目してみてほしい。
 

15代目クラウン

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モデル概要:日本専用FRセダンとしての“集大成”

15代目クラウンの特徴は「CROWN BEYOND(クラウンを越えて)」というキャッチコピーが表している。では、いったいどういう点が従来型を越えていたのか? 答えは、デザインと走りのスポーティさだ。

クラウンと聞くと乗り心地の快適さをイメージするだろうが、15代目ではドライバーズファーストを標榜。高級感とスポーティさを両立し、デビュー当時は「クラウン史上最高にスポーティ」とうたわれた。

エクステリアではロングノーズや伸びやかなシルエット、タイヤの張り出しなどによって、優雅さとたくましさを表現。インテリアでは、運転に集中できるように設計されており、前席を車の重心点に近づけており、車との一体感をより鮮明に味わえる。
 

15代目クラウン▲ボディサイズは全長4910mm×全幅1800mm×全高1455~1465mm。サイドウインドウを6つに増やしてスポーティさを演出しながら、後方確認時の視界も良くなった
15代目クラウン▲内装は上質で、ダブルディスプレイなど当時の最新装備も採用。また、フロントピラーを細くし、ドアミラーの配置を最適化することで、広い前方視野を確保している

プラットフォームは、低重心かつ前後の重量配分を最適化した「GA-L」を採用。高剛性なボディと追従性・応答性に優れたサスペンションを組み合わせることで、キビキビとして正確なハンドリングと目線のぶれないフラットな乗り心地を実現している。

そのうえで、防音材の最適配置やノイズを軽減する「アクティブノイズコントロール」を採用。静粛性が高く、走りの上質さが演出されている。

パワーユニットはダイレクト感の強い2Lガソリンターボと、滑らかに加速する2.5Lハイブリッド、パワフルでゆとりある3.5Lハイブリッドの3種類。それぞれ個性は異なるが、いずれを選んでも「さすがはクラウン!」と納得がいくクオリティとなっている。
 

15代目クラウン▲過酷さで知られるドイツのニュルブルクリンクサーキットで走行テストを重ねて走行性能を追求。さらに、車両感覚が掴みやすく、安心して運転できるのも長所だ
15代目クラウン▲駆動方式は基本的にFRで、2.5Lハイブリッドのみ4WDも設定。センターデフ搭載のフルタイム式が採用され、多様な路面状況で走行安定性を発揮する

シリーズ構成が見直されたのも15代目のトピックだった。従来のロイヤルは標準仕様、アスリートはスポーツグレードの「RS」に変更し、マジェスタの後継として最上級グレードの「G エグゼクティブ」を設定。シリーズを統合し、グレードとして体系化された。

なお、車載通信機DCMを利用したコネクティッドサービス「T-Connect」をトヨタ車で初導入したのも特徴だ。現在でも「T-Connect For CROWN」というプランが用意されて、中古車でも契約すれば利用可能。例えば、事故や急病時には専門オペレーターが警察や消防に取り次ぐ「ヘルプネット」などが用意されている。
 

15代目クラウン▲車載通信機DCMを標準搭載することで、様々な情報やサービスを受けることができるコネクティッドカーとなった

代替わりをした現在においても、15代目クラウンの実力は一線級。現行型のセダンと比べると走りの洗練さや先進装備などはリードされているが、15代目の方が有利の点もある。

15代目には現行型のセダンに用意されていない高排気量な3.5Lハイブリッドを選べるし、2.5Lハイブリッド同士では出力・トルクでは分が悪いが、実は燃費性能では上回っているのだ。

現行型のセダンよりボディが小さいのもポイント。特に全幅は90mmも短い。最小回転半径も5.3~5.5mと小回りが利く。日本専用車だからこそ、15代目のサイズと取り回しは日本の道路に適している。

つまるところ、15代目の魅力は日本車ならではの扱いやすさと上質さ、輸入車のような気持ち良い走りを兼ね備えている点に集約される。日本専用FRセダンとしての最期を飾るにふさわしい、まさに集大成なモデルなのだ。
 

15代目クラウン▲15代目クラウンは2020年4月と同年11月に一部改良に実施。デザインや走行性能に関する手直しは行われなかったため、前期後期といった区分はない
16代目クラウン▲ちなみに、こちらが16代目クラウンのセダン。現行型唯一のFR車であり、15代目クラウンで採用したGA-Lプラットフォームをベースとしている
 

価格状況&考察:2023年に中古車流通数が急増! 相場が下落傾向に転身

肝心の15代目クラウンの中古車相場を見ていきたい。下記グラフのとおり、2023年4月の車両平均価格は391.1万円だったが、2024年1月には338.4万円まで一気に下落。同年2月3月は価格を維持したが、4月22日時点で335万円と再び下落傾向となった。
 

15代目クラウンのグラフ

1年間で50万円以上ダウンした最大の理由は、中古車流通数の増加だろう。2023年1月はカーセンサーに約1670台が掲載されていたが、同年3月には約2430台まで急増。以降も上下しながら掲載台数が増え続け、2024年3月には約2740台も掲載されていた。

2023年はデビュー5年目に当たるので、2回目車検を迎える車両が中古車市場に流出。また、2023年10月には現行型の中で最も小ぶりなクラウンスポーツ、続く11月にはクラウンセダンが登場した。手放すタイミングが重なったことで、一気に中古車流通数がダボついたと推測される。

需要を上回る供給が続けば、中古車相場は下がるのが常。現在の掲載台数は約1570台と減っているが、クラウンのような高級車は最新型を望むユーザーが多いため、「需要を消費した」とも考えられる。

つまり、今後も中古車相場はリーズナブルな状態が続くはず。走行距離の延び切っていない今のうちに、ポテンシャルの高い15代目クラウンに注目するのも一興だろう。
 

 

選び方1:安さ重視なら「S Cパッケージ」の2.5Lハイブリッド車

15代目クラウンのラインナップは下記のように大別できる。

標準仕様
エントリー「B」:2LターボのFRを設定
スタンダード「S」:パワーユニットと駆動方式の全組み合わせを設定
上級「G」:2LターボのFR、2.5LハイブリッドのFRと4WDを設定
最上級「G エグゼクティブ」:2.5Lハイブリッドの4WDと3.5LハイブリッドのFRを設定

RS系
エントリー「RS-B」:2LターボのFRを設定
スタンダード「RS」:2LターボのFR、2.5LハイブリッドのFRと4WDを設定
上級「RS アドバンス」:パワーユニットと駆動方式の全組み合わせを設定

新車ではBグレードが最も安価だったが、中古車として最もオトクなのはSグレードに設定された「Cパッケージ」の2.5ハイブリッド車。Sグレードではオプション装備のブラインドスポットモニターや、後方接近車両に対するパーキングサポートなどを標準装備している。
 

15代目クラウン▲エクステリアでは17インチアルミホイールを装備。インテリアではカラーヘッドアップディスプレイが標準化されている

カーセンサー掲載台数は約150台。気になる価格帯は総額195.4万~386.6万円で、ボリュームゾーンは総額250万~300万円となっている。ただ、2018年や2019年といった低年式モデルなら、総額250万円以下でも購入圏内だ。走行距離5万km以下の物件が3分の2、3万km以下が3分の1を占めており、低走行な物件も散見されるのも美点だ。

中古車選びで注意したいのは先進安全装備だ。後方の歩行者を対象としたパーキングサポートブレーキはオプション扱いなので、有無の確認が必要。2020年11月の一部改良で、トヨタセーフティセンスの機能が拡充されている。価格を最優先とするなら気にしてなくても良いが、「安全装備だけはケアしたい」という人は、チェックしておこう。
 

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選び方2:RS系狙いなら「RS アドバンス」の2.5Lハイブリッド車

15代目クラウンのスポーティさを満喫するならRS系がターゲットだろう。中でも狙い目なのがRS アドバンスの2.5Lハイブリッド車。軽やかなFRと落ち着きのある4WDを選べるが、オススメなのは低燃費なFRだ。

RS系は専用フロングリルや専用リアバンパー、電子制御式ダンパーのAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)などを標準装備。加えてRS アドバンスではスパッタリング塗装の18インチアルミホイールや本革シート、前席シートベンチレーションなどを備えている。
 

15代目クラウン▲RS系は他にも、メッキモール付きのフロントバンパーや流れるように点灯する「LEDシーケンシャルターンランプ」など専用の装備を与えられている

掲載台数は約510台と全体の3割弱を占めており、選択肢が多いのもメリット。価格帯は総額233.5万~599万円で、ボリュームゾーンは総額350万~400万円となっている。しかし、低年式モデルなら総額300万円以下でも狙え、走行距離5万km以下の物件も見つけられる。

中古車を選び際には装備の充実度に注目したい。掲載物件の5割弱がオプションのパノラミックビューモニターを備えているし、3割弱がスライド電動ムーンルーフを装備。予算が合えば、装備が充実した物件を検討したいところだ。
 

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選び方3:ハイグレード車なら「G エグゼクティブ」の3.5Lハイブリッド車

「せっかくクラウンに乗るなら!」とハイグレード車を望む人も多いだろう。そういった人はG エグゼクティブの3.5Lハイブリッド車がイチオシ。歴代クラウンが築いてきた上質な乗り味を最も味わえるグレードとなっている。

本杢調のインテリア加飾だけでなく、3席独立エアコンやドアLED照明などの快適装備を採用。加えて、後席には40:20:40分割の電動リクライニングやシートヒーター、リアドアのサンシェードなど、高級車にふさわしい仕様だろう。
 

15代目クラウン▲3.5Lハイブリッドは前ブレーキにアルミモノブロックキャリパーを採用。シーケンシャルシフトマチックによってMモードが10段階となるなど、RSに負けず劣らずの走りを披露してくれる

掲載台数は約90台。価格帯は総額224.2万~559.1万円で、ボリュームゾーンは総額340万~400万円だ。走行距離5万km以下の物件でも総額300万円前後から狙える。G エグゼクティブの3.5Lハイブリッド車はデビュー時に新車価格で700万円を超えた仕様だった。しかし、中古車では他のグレードとの価格差はかなり縮まり、手が届きやすくなっている。

中古車選びでは、前述したハイブリッド2.5 RS アドバンスのFRと同様、装備の充実度がポイント。パノラミックビューモニターやスライド電動ムーンルーフ、スマホの「おくだけ充電」、1500W給電などがオプション装備となっているので、興味があるなら有無を確かめておこう。
 

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文/綱島剛(DOCUMENT) 写真/トヨタ、尾形和美
※記事内の情報は2024年4月22日時点のものです。